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【応用】わかりやすい! 同心円筒形コンデンサーの電気容量の求め方

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どうも、かきのたねです。

前回は平行平板コンデンサーを例として、どのように電気容量を求めるのかを解説しました。

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今回は同心円筒形コンデンサーの電気容量の求め方を解説します。このようなコンデンサーはあまり見慣れていないため難しく感じるかもしれませんが、実は簡単に導出できてしまいます。

では、どのように電気容量を求めるのか見ていきましょう。

この解説では以下の積分を用います。

\[ \int \frac{1}{x} dx = \log{x} + (積分定数) \]
\[ \int \frac{1}{x^{2}} dx = – \frac{1}{x} + (積分定数) \]

電気容量の求め方

Step1

蓄えられた電気量\( Q \)を使って、極板間の電場を求める。

Step2

求めた電場から、極板間の電位差\( V \)を求める。

Step3

電気容量の定義\( C = \frac{Q}{V} \)を使って、コンデンサーの電気容量\( C \)を求める。

一様でない電場から電位差を求める方法

平行平板コンデンサーの場合は極板間の電場が一様であったため、極板間の電位差を求めるのは簡単であった。しかし例えば電場が原点からの距離に依存する場合、電位差を求めるのは簡単ではない。

2点間の電位差とは、1クーロンの電荷を2点間で移動させるのに必要な仕事であった。

例えば電気量\( Q \)の点電荷の場合、その周りには\( E(r) = \frac{Q}{4\pi \epsilon_{0}}\frac{1}{r^{2}} \)の電場ができる。原点からの距離が\( r=a \)の位置と\( r=b \)の位置との電位差Vは、次のような積分で求められる

\[ V = \int_{a}^{b} E(r) dr = \frac{Q}{4\pi \epsilon_{0}} \int_{a}^{b} \frac{1}{r^{2}} dr = \frac{Q}{4\pi \epsilon_{0}} ( \frac{1}{a} – \frac{1}{b} ) \]

同心円筒形コンデンサー

2枚の円筒形極板間の電場

まずは中心軸からの距離が\( r \)の位置での電場の大きさ\( E(r) \)を求めてみよう。

蓄えられている電気量が\( Q \) であるとき、正に帯電した極板からは\( \frac{Q}{\epsilon_{0}} \)本の電気力線が湧き出し、負に帯電した極板には\( \frac{Q}{\epsilon_{0}} \)本の電気力線が流入する。

この同心円筒形コンデンサーの中心軸に沿ってコンデンサーを見ると、電気力線は次のような分布になる。

内側の円筒の半径を\( r=a \)、外側の円筒の半径を\( r=b \)とし、高さを\( l \)とする。電気力線は極板間のみに存在し、\( N=\frac{Q}{\epsilon_{0}} \)本が等方的に分布している。

電場の大きさは電気力線の密度であったので、中心軸から離れれば離れるほど電場は弱くなる。

具体的に計算してみよう。半径\( r \)の円筒の側面積は\( S(r) = 2\pi lr \)なので、この側面を垂直に貫く電気力線の密度\( E(r) \)はこのようになる。

\[ E(r) = \frac{N}{S(r)} = \frac{Q}{2 \pi \epsilon_{0} lr} \]

この式を見てわかる通り、電場の大きさは中心軸からの距離に反比例している。

2枚の円筒形極板間の電位差

電場が求まったので極板間の電位差も求まる。しかし電場の大きさが中心軸からの距離に依存しているため、積分計算が必要となる。中心軸からの距離\( r=a \)の極板と、\( r=b \)の極板との電位差\( V \)は次のように計算できる。

\[ V = \int_{a}^{b} E(r) dr = \frac{Q}{2 \pi \epsilon_{0} l} \int_{a}^{b} \frac{1}{r} dr = \frac{Q}{2 \pi \epsilon_{0} l} \log{\frac{b}{a}} \]

同心円筒形コンデンサーの電気容量

これで\( Q \)と\( V \)の関係がわかったので、電気容量\( C \)が求められる。

\[ C = \frac{Q}{V} = \frac{2 \pi \epsilon_{0} l}{\log{\frac{b}{a}}} \]

まとめ

  • 電気量\( Q \)が蓄えられた同心円筒形コンデンサーの極板間の電場の大きさ(中心軸からの距離\( r \))
\[ E(r) = \frac{Q}{2 \pi \epsilon_{0} lr} \]
  • 極板間の電位差は
\[ V = \int_{a}^{b} E(r) dr = \frac{Q}{2 \pi \epsilon_{0} l} \log{\frac{b}{a}} \]
  • 電気容量
\[ C = \frac{Q}{V} = \frac{2 \pi \epsilon_{0} l}{\log{\frac{b}{a}}} \]
わかりやすい!
高校物理の家庭教師

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POSTED COMMENT

  1. ゆう より:

    はじめまして、大学生です。

    電磁気学のテストが近く焦っていたのですが、めちゃくちゃ分かりやすくて助かりました!

    ありがとうございます

    • かきのたね より:

      はじめまして!
      コメントありがとうございます!!

      理解してもらえたようで何よりです。
      大学の試験頑張ってください

  2. 宇宙 より:

    とても丁寧で分かりやすかったです。ありがとうございます

    • かきのたね より:

      コメントありがとうございます!
      私の記事がお役に立てたようで何よりです。

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