どうも、かきのたねです。
連続X線と特性X線の特徴を覚えるのは難しいですよね。今回はこの2種類の違いを、発生の仕方から説明していきます。知っていれば暗記する必要がなくなります!
X線の発生
金属に電子を当てると、当たった所からX線が出てくる。この時に発生するX線は2種類あり、それぞれの波長と強度の関係には違いがある。
- 特性X線 : 特定の波長で大きな強度がみられる
- 連続X線 : 特定の波長から連続的にX線がみられる
この2種類のX線の発生の違いを理解しよう!
特性X線の発生の仕方
電子が金属に当たると、電子の運動エネルギーの一部が金属原子核の周りにいる電子に与えられる。
このエネルギーによって比較的低エネルギー状態にいた電子が金属原子核の束縛から脱出すると、低エネルギー状態の席が空く。この席に比較的高エネルギー状態にいた電子が遷移してくると、余剰分のエネルギーを放出する。
このとき金属原子は電磁波という形でエネルギーを放出する。この電磁波こそ、特性X線である。
金属原子が放出できるエネルギーの大きさは、その金属の種類(金属内電子の取りうるエネルギー状態)によって決まっている。このようにして放出されるX線のエネルギーは金属の種類によって決まるのだ。
X線の波長はそのX線の持つエネルギーで決まるので、特定の波長のX線のみが放出されることになる。この特徴からこのX線は特性X線と呼ばれる。
もちろんこの波長は、入射する電子のエネルギー(速さ)には無関係である。
金属の原子核の周りを回る電子のエネルギーは、K殻やL殻などの特定のエネルギー状態にしかなれない。低いエネルギー状態にいる電子が飛び出して低エネルギー状態の席が空くと、高エネルギー状態にいる電子がそこに飛び移る。
自然界はエネルギーの低い状態でいる方が安定であるようになっているため、すぐにエネルギーを放出して低いエネルギー状態になってしまうのだ。
連続X線の発生の仕方
特性X線とは異なり、金属に当てる電子自身もX線を放出する。電子がX線を放出するメカニズムは難しいため、ここでは詳しい説明はしない。簡単に言うと、電子の軌道が曲がるときに必ずX線を放出してエネルギーを失ってしまう。このときに放出されるX線が連続X線である。
金属に向かって発射された電子は、金属内部の電場によって軌道が曲がる。その電子の動き方は1つ1つ異なりランダムなので、失うエネルギーもバラバラで、様々な波長のX線を放出する。これを連続X線というのだ。
電子の失ったエネルギーがX線となるので、電子がほとんどエネルギーを失わなければX線のエネルギーは小さく、電子がエネルギーを全て失うときにX線のエネルギーは最大となる。エネルギーが大きいほどX線の振動数は大きく、波長は短い。電子の最大エネルギーに対応する波長より短い波長のX線が出てこないことも簡単に理解できるだろう。
まとめ
- 特性X線の波長は金属の種類のみによって決まる。
- 連続X線の波長は電子の軌道が曲げられたときに失うエネルギーで決まる。
- 連続X線の最短波長は、入射する電子のエネルギーで決まる。
高校物理の家庭教師
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